セルフメディケーション税制を利用しよう!

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平成28年度の税制改正で始まった、「セルフメディケーション税制」。

どのような税制なのか解説します。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療表から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

参照:厚生労働省 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について より

要するに、健康維持のために健康診断などを受けていて、病院で薬をもらわず薬局で指定された薬を買っても、医療費控除の対象にしますといった制度です。

政府は、増え続ける医療費を抑えるために、病院を使わなくとも自ら自己管理を行ってくれる方向けの医療費控除を作りました。

では、従来からある医療費控除とどのように違うのでしょうか。

医療費控除について

医療費控除の概要

1月~12月までの間に、本人、配偶者(妻や夫)、子どもなど生計を一にしている家族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得から引くことが出来ます。

医療費控除の対象となる医療費の要件

  1. 納税者(本人)が、本人、配偶者(妻や夫)、子どもなど生計を一にしている家族のために支払った医療費であること
  2. 1月~12月までの間に支払った医療費が対象

医療費控除の対象となる金額

実際に支払った医療費の合計額から一定の金額(注)を控除した金額が医療費控除の対象となります。(最高200万円まで)

(注)足切り金額10万円、保険金などで補填される金額

つまり、医療費控除は、基本的に年間10万円を超える場合に、超えた金額が医療費控除の対象になります。

《簡易的な計算例》

前提

課税所得が500万であり、年間15万円の医療費を支払った場合(医療費以外の項目は加味しない)

医療費控除額15万円ー10万円=5万円
医療費控除による所得税の減額分5万円×20%(注)=1万円(注)課税所得500万円に対する所得税率
医療費控除による住民税の減額分5万円×10%(注)=5千円(注)住民税の税率(一律10%)
医療費控除による節税額②+③=1万5千円

セルフメディケーション税制について

セルフメディケーション税制の概要

健康の保持増進及び疾病の予防の取組として、一定の取組を行っている納税者が、平成29年1月1日~平成33年12月31日までの間に、自分と配偶者や子どもなど生計を一にする家族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額を所得控除(医療費控除)を受けることが出来ます。

これをセルフメディケーション税制といいます。

セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件

1.適用を受けられる納税者

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。

具体的には、次の取組が「一定の取組」に該当します。

「一定の取組」

  • 保険者(健康保険組合、市町村国保等)が実施する健康診断(人間ドック、各種健(検)診等)
  • 市町村が健康増進事業として行う健康診断(生活保護受給者等を対象とする健康診断)
  • 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
  • 市町村が健康増進事業として実施するがん検診

2.特定一般用医薬品等購入の範囲

特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。

セルフメディケーション税制の対象とされるスイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省HPに記載の「対象品目一覧」をご覧ください。

有名どころでは、バファリンやパブロンなんかもOTC医薬品に指定されています。

なお、一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

セルフメディケーション税制マーク

医療費控除の特例の対象となる金額

セルフメディケーション税制による医療費控除の金額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2千円を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。(最高8万8千円まで)

つまり、セルフメディケーション税制は、年間1万2千円を超える場合に、超えた金額が医療費控除の対象になります。

《簡易的な計算例》

前提

課税所得が500万であり、対象のOTC医薬品を年間で2万円分支払った場合(医療費以外の項目は加味しない)

医療費控除額2万円ー1万2千円=8千円
医療費控除による所得税の減額分8千円×20%(注)=1,600円(注)課税所得500万円に対する所得税率
医療費控除による住民税の減額分8千円×10%(注)=800円(注)住民税の税率(一律10%)
医療費控除による節税額②+③=2,000円

医療費控除とセルフメディケーション税制の関係

両方受けることはできない!

医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか片方しか適用することが出来ません。

確定申告する際に、どちらが有利かを判定して確定申告を行うことになります。

医療費にかかる領収書・レシートは取っておく!

セルフメディケーション税制は、通常の市販薬(バファリンなど)は買うが、病院などにあまり行かず年間の医療費が10万円まではいかないといった人が、医療費控除を受けるチャンスになります。

今までドラッグストアで市販薬を買ったのにレシートを捨ててしまっていた方、レシートは捨てないでください。

ご自身が購入している商品が、OTC医薬品か確認してみて下さい。

ドラッグストアのレシートには、対象商品にはマークが記載されています。

治療のために購入したOTC医薬品は、従来の医療費控除に含めることが出来る

医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか片方しか適用を受けることが出来ません。

セルフメディケーション税制はOTC医薬品と限定がかかっていますが、通常の医療費控除には、この縛りはありません。

治療のために購入したOTC医薬品は、従来の医療費控除の医療費に含めることもできます。

まとめ

今まで医療費控除を受けられなかった方も、医療費控除を受けるチャンスがあります。

  1. 健康診断を受けている
  2. OTC医薬品の金額の合計が1万2千円を超える

の2つに該当しそうな場合には、確定申告をすることで所得税が還付になるかもしれません。

要件をよく確認して、上手にセルフメディケーション税制を利用しましょう。

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